遅くなりましたが、年末調整のPart2です。
ではさっそく本題に、、、。
今回は「配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正」についてです。
そもそも「配偶者控除」や「配偶者特別控除」って何?
まずは「配偶者控除」から!
皆さんは「103万円の壁」という言葉、聞いたことありますよね!?配偶者の年収が103万円以下であれば、扶養に入れることができるという意味でよく使いますよね!年末が近づくこの時期になると、年収の見込みがたつことから、働く時間を調整される方もいるのではないでしょうか?
厳密に言いますと、所得税法上の「配偶者控除」の要件は少々違っておりまして、具体的には下記の要件をすべて満たしている配偶者です。
①民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
②納税者と生計を一にしていること。
③年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
まぁ結局のところ、給与のみの場合がほとんどでしょうから、一般的に「年収103万円以下」という要件を満たせば「配偶者控除」の対象となります。また、配偶者が個人事業を営んでいる場合でも、合計所得金額が38万円以下であれば、「配偶者控除」の対象となる一方で、給与収入が103万円以下であっても、ほかの所得がある場合は、「配偶者控除」の対象とならない可能性があるのでご注意を!
次に「配偶者特別控除」を!
配偶者以外の扶養親族の場合は、その親族の合計所得金額が38万円を超えれば、「扶養控除」を受けることができません。しかし、配偶者に限っては合計所得金額が38万円を超えた場合でも、配偶者の所得金額に応じて一定の控除を受けることができます。まさに「特別」ですね!ただし、この控除を受けることができる配偶者の所得金額には上限がありまして、その上限額は「合計所得金額が76万円未満」(改正前)とされています。また、扶養している本人の合計所得金額が1,000万円超の場合は、配偶者の所得の金額にかかわらず、「配偶者特別控除」の適用はありません。
文章ばかりでスイマセン!いよいよ本題の改正点です!!
文章ばかりで疲れた方(私もです。)!
改正前後の比較を表にまとめました!
改正前 | 改正後 | ||
配偶者控除 | 納税者本人の所得制限 | なし | 合計所得金額1,000万円以下 |
控除額 | 38万円(一律) | 本人の合計所得金額に応じる(38万円、26万円、13万円) | |
配偶者特別控除 | 納税者本人の所得制限 | 合計所得金額1,000万円以下 | 合計所得金額1,000万円以下 |
配偶者の所得制限 | 合計所得金額38万円超76万円未満 | 合計所得金額38万円超123万円以下 | |
控除額 | 配偶者の合計所得金額に応じる | 配偶者の合計所得金額+本人の合計所得金額に応じる |
ざっくりと言いますと、上の表を見ていただけると分かるように、「配偶者特別控除」の適用を受けることができる配偶者の所得金額の範囲が広がったものの、「配偶者控除」「配偶者特別控除」とも、納税者本人の所得金額が、適用の有無及び控除額に影響を与えることになりました。
※合計所得金額 1,000万円→年収1,220万円 123万円→年収201万円 76万円→年収141万円 38万円→年収103万円 (いづれも給与収入のみの場合)
下の表は、納税者本人と配偶者の合計所得金額による、控除額をまとめたものです。(私が勤務時代にエクセルで作成したものを図として添付しているため、文字の小ささや粗さについては目をつぶってい頂けると助かります。)
なんとな~く、納税者本人の所得が増えるにつれて控除額が減ってますし、一方で「配偶者特別控除」は対象が広がってそうでしょ(笑)
この表から考えられる改正前後での損得としては、主に下記のとおりでしょうか!?
・ 配偶者の給与収入が150万円超201万円以下(合計所得金額85万円超123万円以下)で、納税者本人の給与収入が1,220万円以下(合計所得金額1,000万円以下)の方は減税。
・ 配偶者の給与収入が103万円以下(合計所得金額38万円以下)で、納税者本人の給与収入が1,120万円超(合計所得金額900万円超)の方は増税。
・ 配偶者の給与収入が103万円超150万円以下(合計所得金額38万円超85万円以下)の場合
→納税者本人の給与収入が1,120円以下(合計所得金額900万円以下)であれば、基本的には減税。
→納税者本人の給与収入が1,120万円超1,220万円以下(合計所得金額900万円超1,000万円以下)のときは、配偶者の給与収入により影響が異なる。
まとめ
今回の改正により、配偶者の方が年収ベースで103万円を超えたとしても、150万円以下であれば、「配偶者特別控除」として38万円の控除が受けられるため、配偶者の方の働き方にも変化がありそうです。ただし、社会保険の扶養の要件である、いわゆる「130万円の壁」は依然として存在しますから、そのあたりも踏まえて働き方を考える必要がありそうです。