補助金もらった~!!けど、、、。

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補助金や助成金とは、国などから一定の条件を満たした事業者に対して給付される金銭で、その数は数百にのぼるそうです。私も独立するにあたり「IT導入補助金」の給付を受けましたし、最近では、小売店などでレジの入れ替えを行われた場合に「軽減税率対策補助金」の給付を受けているケースも多いです。また、人関係の助成金として、「特定求職者雇用開発助成金」や「キャリアアップ助成金」などを利用されている事業者も毎年一定数います。

この補助金と助成金、違いがあります。主な違いは下記のとおりです。

補助金 助成金
交付元 国(経済産業省や中小企業庁など)や地方公共団体 国(厚生労働省など)や地方公共団体
目的 設備投資や研究開発など事業活動全般 職業の安定や人材教育など雇用・労働環境の整備
受給条件 要件を満たしたからと言って、希望額が給付されるわけではない 要件を満たせば、原則給付
申請期間 短期間(1ヶ月程度) 長期間(通年で随時)

特に大きな違いは受給条件で、補助金の場合、要件を満たしていても国の予算の都合上、申請額が減額されるどころか、採択されないことだってあり得ます。ちなみに「IT導入補助金」に関していうと、前年度は予算が今年度より少なく、一方で1件当たりのあたりの補助額は大きかったため、一次公募ではほぼ100%であった採択率が、二次公募では25%程度であったようです。

補助金や助成金は課税されるか

経理上は「雑収入」と処理するため、原則は、法人税や所得税において課税の対象となります。人関係の助成金ならまだしも、設備投資のための補助金であっても税金が引かれてしまうのです。例えば100万円の設備投資に対して、100万円の補助金をもらったとしましょう。これだけを見ると、「すべて補助金で賄えて良かったね~」となるのですが、確定申告の際には、その補助金100万円に対して税金を払う必要があります。(もちろん所得が赤字であれば別です。)実効税率が30%とすると、30万円通常より多く納付しなければならないため、結果的には税金部分は手出しということになりますので注意が必要です。この問題を防ぐために「圧縮記帳」と呼ばれる処理の仕方もあるのですが、それはあくまで課税の繰延べであり、翌期(来年)以降で30万円を分割して支払う必要があります。

ちなみに消費税については、補助金や助成金というものの性格が、資産の譲渡やサービスの提供の対価として給付を受けるものではないため、対象外となります。

収益計上時期には注意!

補助金や助成金は法人税や所得税において課税対象となることはわかりました。では、いつ収益(税務上は益金といいます)計上する必要があるのでしょうか?

結論から言いますと、原則「給付が決定した」タイミングです。「入金された」タイミングではありません。これが問題となってくるのは、給付決定日と入金日の事業年度が異なる場合です。これらが同じ事業年度であれば、入金時に「雑収入」として処理したとしても、結果は同じです。

補助金であれば多くは下記のようなスケジュールになるかと思いますが、ここでいう「給付決定」は⑤をいいます。

①応募→②採択決定→③計画承認→④補助事業完了報告→⑤確定額の決定通知→⑤給付

助成金の場合は、給付金等の目的によって収益計上の時期が異なります。法人税法基本通達2-1-42に記載されている内容は、下記のとおりとなっています。

・定年の延長、高齢者や身体障害者の雇用等を図ることにより交付を受ける奨励金等(特定求職者雇用開発助成金等)                                        →その給付決定があった日

・休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するために受ける給付金等 (キャリア形成促進助成金、両立支援等助成金等)                            →当該事業年度終了の日において交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積もり、当該事業年度の益金の額に算入する。

まとめ

法人税や所得税においては、期ズレの問題が必ず出てきます。多くは売上や原価において発生しますが、今回のように補助金や助成金に関しても、給付決定日と入金日の事業年度が異なれば、注意が必要です。