増税に伴う軽減税率

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消費税率の引き上げ時期が平成31年10月1日となったことから、軽減税率の導入も同日からとなります。軽減税率の対象は①飲食料品の譲渡②新聞の譲渡③飲食料品の輸入とされています。

飲食料品の譲渡

飲食料品とは食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除きます。)です。食品表示法第2条第1項において、食品とは、全ての飲食物(医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品を除き、添加物を含む。)をいいます。

販売する事業者が、飲用・食用として売れば、軽減税率の対象となりますが、飲用・食用以外のものとして売れば、仮にそれを実際に飲用・食用にしたとしても軽減税率の対象とはなりません。

食事の提供(外食)

飲食設備のある場所において行う飲食料品を飲食させる役務の提供は、軽減税率の対象となりません。ちなみに屋台における飲食料品の販売は、屋台の経営者自らテーブル等を設置していたり、公園のベンチ等の使用許可を受けている場合を除き、軽減税率の対象となります。いわゆるテイクアウトは、単なる飲食料品の販売であるためです。

それでは、ファーストフード店のように、店内飲食もテイクアウトも両方行っている場合はどうでしょうか?

通達等では、事業者が飲食料品の譲渡等を行う時において、「相手方に意思確認」するなどの方法により判定するものされています。したがって、お客が「店内で食べます。」と言えば、飲食設備を用いた役務の提供として、軽減税率の対象となりませんが、「持ち帰ります。」と言えば単なる、飲食料品の販売として軽減税率の対象となります。

ということは、「持ち帰ります。」と言って、店内で食べちゃえば、、、。はい。

最近では、イートインスペースのあるコンビニも増えてきましたよね?この場合も同様です。ただ、ファーストフード店と違うのは、毎回、「店内で食べるか」「持ち帰るか」の意思確認はしませんよね?ペットボトルの水を買って、「店内でお召し上がりますか?」なんて(笑)

そのような場合は、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」等の掲示をして「相手方に意思確認」を行うことになります。

ということは、黙ってイートインスペースを利用すれば、、、。はい。

ちなみに、先ほども言いましたが、軽減税率の対象となるかの「意思確認」はあくまで販売時ですので、「店内で食べます。」と言ったものの、その予定が変わって持ち帰ったとしても、軽減税率の対象となりませんから、くれぐれも慎重に!決して「消費税を返金しろ!」と言わないように(笑)

一体資産か一括譲渡か

「一体資産」とは食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもので、その一の資産に係る価格のみ提示されているものをいいます。例えば、お菓子と玩具がセットになっている「食玩」などがこれに当たります。

「一体資産」の場合、原則として軽減税率の対象となりません。ただし、一体資産の税抜価額が1万円以下であり、全体の価額のうち食品に係る部分の価額の割合が、3分の2以上であれば、軽減税率の対象となります。

「一括譲渡」とは、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであっても、組み合わさた商品個々の価格の内訳が記載されているものや、顧客が自由に商品を組み合わせることができるものをいいます。例えば「よりどり3品1,000円」みたいなやつですね。

「一括譲渡」の場合は、商品それぞれで、適用税率を判定することになります。

判断が難しい場合も多い

飲食料品の譲渡において、軽減税率の対象となるか否かは、まだまだ細かい話がいっぱいあります。興味のある方は、国税庁のホームページや書籍等で、確認してみてはいかがでしょうか。

新聞の譲渡

ポイントは、定期購読契約が締結された新聞であるという点です。駅やコンビニで買う新聞は軽減税率の対象となりませんし、電子版も軽減税率の対象となりません。また一般社会事実を掲載する週2回以上発行する新聞に限っているところも注意です。週刊新聞などは、これもまた軽減税率の対象外です。

まとめ

消費税の増税まで、あと約1年あまりです。同時に軽減税率制度の開始されるとなると、事業者への負担は、かなり大きいものとなりそうです。軽減税率対策補助金制度などで、複数税率対応レジ等の導入を促していますが、全額補助金で賄えるわけではありませんからね。また、軽減税率の適用誤りが税務調査で発覚した場合、対消費者取引では、遡って追加の支払いをおねがいすることができませんから、経営状態を一気に悪化させる恐れもあります。本当は10%消費税を預からないといけないところを、8%しか預ってなかったら、2%は事業者の手出しになります。業者なら過年度分の修正ということで、請求は可能でしょうが、消費者1人1人から2%分過去に遡ってもらうことは不可能ですからね。残りの期間、しっかりとした準備が必要です。

ちなみに、飲食料品の輸入は、用語そのままですから説明は省略です。