電子申告における情報連携

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資本金1憶円超の大法人は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度より、法人税及び法人住民税、法人事業税、そして消費税において電子申告が義務となります。今年度の税制改正で決まりましたね。そして、ほぼ同時期の32年4月頃から、税務署に申告した法人税申告書等のデータがその法人の本店所在地の都道府県や市町村に自動的に提供される方向で検討が進められているようです。

法人の電子申告の義務化は大法人についてのみですが、この国から地方への申告データの情報連携については、中小法人も含め電子申告をした全ての法人が対象となるようです。法人の申告については、ほとんどの場合、税理士事務所から提出されるでしょうから、税理士事務所の申告事務負担は、若干軽減されますね。地方税の申告で、別表等を添付する必要がないわけですから。

でも実際のところは、地方税当局による法人住民税や法人事業税の申告書チェックや税務調査等での貢献が考えられますし、特に償却資産の調査で活用されるかと思います。

償却資産って聞かれたことありますか?個人事業主や法人が、「事業のために用いる」ことができる構築物・機械・工具・器具・備品等の固定資産のことを償却資産と言います。毎年1月31日までに、その年1月1時点で保有している償却資産を地方自治体に申告する必要があります。その申告をもとに償却資産税が課税されることになります。

これまでも、償却資産の申告においても、申告内容等についての調査はされていますが、情報連携により自動的に国税の申告内容が地方に行くわけですから、調査がこれまで以上に効率的に進みそうですね。法人税等の申告において固定資産の情報は、別表16という書類で国税にのみ申告されます。その情報が地方に自動的に行くということは、償却資産の申告との突合が容易にできるということです。